開講年度2023
科目名人体と歯科の薬物
科目ナンバーF111-571-17
開講学年1年
担当教員新井 通次
実務経験教員
関連性が高い
ディプロマ・ポリシー
D-P②
単位数2
授業形態講義


授業目標
医薬品に関して、総合的な理解を深めた上で、歯科医療に使用される局所麻酔薬、止血薬、鎮痛薬、抗炎症薬、抗菌薬、消毒薬について説明できることを目的とする。
到達目標
・薬物の適用方法、薬物の吸収、生体への分布、化学的変化、排泄の仕組みを説明できる。
・薬物の用量(無効量、有効量、中毒量、致死量、ED50、LD50)と安全域を説明できる。
・併用、連用、年齢、性別、心理状態や遺伝的体質など、薬理作用に影響を与える要因を説明できる。
・薬物の副作用や有害作用、特に口腔領域に及ぼす有害作用を説明できる。
・医薬品の定義、日本薬局方、関連法規、剤形、処方せんや調剤など薬の取り扱いを説明できる。
・薬物療法および歯科医療に使用される主な薬物について、代表的薬物名を挙げて、主作用、副作用および相互作用を説明できる。
授業の概要
および助言・
注意事項
薬理学とは、薬物が生体に及ぼす作用とその仕組みを研究する学問である。薬物は、用量、剤型、適用方法などによって効果に影響が現れたり、治療目的外の有害な作用を発現することもある。また、薬物には様々な法的規制もある。本講義では、これらについて総合的に学修した上で、歯科医療に使用される薬物について詳細に学修する。講義は、対面またはTeamsによる遠隔授業で行う。遠隔授業では,マイクやチャット機能を使い学生と教員が双方向にコミュニケーションを取る。授業は予習に重点を置いた反転授業を取り入れる。予め、Teamsで配信したPDF書類(講義プリント)や教科書の該当ページを予習してから本講義に臨むこと。授業後、重要事項確認のためのミニテストと講義の動画(遠隔授業の場合)をTeamsで配信する。事後学習として、その日の講義PDF、ノートおよび動画等を用いて知識を整理し、ミニテスト解いて提出する。
課題
(定期試験
・レポート試験
・授業内試験など)の
フィードバック方法
定期試験(またはレポート試験)およびミニテストの全体の講評は、Teamsの投稿機能を使用して通知する。
成績発表日から1週間以内に講義連絡にて授業評論を送信する。
授業計画
回数授業計画到達目標・予習(分)・復習(分)・キーワード担当
1薬物療法と医療における薬物(1)薬物療法、医薬品
薬理学の意義と領域(薬力学と薬物動態学)、薬物療法(原因療法と対症療法)、日本薬局方、医薬品等(医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器)の分類、医薬品の法的規制(表示と保管)。重要事項の確認問題。
薬理学の意義と領域、薬物療法、日本薬局方、医薬品の法的規制を説明できる。
予習90分(教科書P.2-9)
復習90分(講義プリント)
キーワード:原因療法、対症療法、医薬品、毒薬、劇薬、向精神薬
新井通次
2薬物療法と医療における薬物(2)医薬品の取り扱い
処方と処方せん、薬物の配合変化、医薬品の剤型、医薬品の保存(容器と温度)、医薬品の開発と薬効評価(二重盲検法)。重要事項の確認問題。
処方せん、剤形、医薬品の保存、医薬品の開発過程を説明できる。
予習90分(教科書P.10-17)
復習90分(講義プリント)
キーワード:処方せん、医薬品の剤型、保存容器、保存温度、臨床試験
新井通次
3薬理作用
薬理作用の基本形式(興奮作用、抑制作用、補充作用、刺激作用、抗感染作用)、薬理作用の分類(局所作用と全身作用、直接作用と間接作用、主作用と副作用)、用量(無効量、有効量、中毒量、致死量、ED50、LD50、安全域)。重要事項の確認問題。
薬理作用の基本形式、分類、用量との関係を説明できる。
予習90分(教科書P.18-21)
復習90分(講義プリント)
キーワード:興奮と抑制、主作用と副作用、用量-反応曲線、安全域
新井通次
4薬物の作用機序
薬物の作用機序と作用部位(作用点)、受容体(アゴニスト、アンタゴニスト、部分アンタゴニスト)、イオンチャネルやトランスポーター、酵素に作用する薬物。重要事項の確認問題。
薬理作用が発現する仕組みを説明できる。
予習90分(教科書P.22-27)
復習90分(講義プリント)
キーワード:受容体、アゴニスト、アンタゴニスト、イオンチャネル、トランスポーター、酵素
新井通次
5薬物の適用方法と体内動態
薬物の生体膜通過様式、経口投与と初回通過効果、口腔内適用、直腸内適用、注射(静脈内、筋肉内、皮下)、薬物の分布、代謝、排泄、薬物動態パラメーター。重要事項の確認問題。
適用方法と特徴、薬物動態とそのパラメーターを説明できる。
予習90分(教科書P.28-37)
復習90分(講義プリント)
キーワード:生体膜通過様式、適用方法、初回通過効果、薬物動態
新井通次
6薬物の作用を規定する因子
ライフステージ(小児、高齢者、妊婦)、病因、心理的要因、遺伝、生体のリズムと投与時間、連用(反復投与)、服薬遵守。重要事項の確認問題。
薬物の感受性、薬物の連用と併用による影響を説明できる。
予習90分(教科書P.38-42)
復習90分(講義プリント)
キーワード:感受性、蓄積、耐性、依存、協力、拮抗
新井通次
7薬物の副作用、有害作用、相互作用
一般的副作用と有害作用、薬物アレルギー、口腔領域に現れる副作用(歯肉増殖、口腔乾燥、歯の形成不全と着色、口内炎)、薬力学的相互作用と薬物動態学的副作用。重要事項の確認問題。
代表的な薬物の副作用、有害作用、相互作用を説明できる。
予習90分(教科書P.44-52)
復習90分(講義プリント)
キーワード:薬物アレルギー歯肉増殖、口腔乾燥、歯の着色と形成不全、相互作用
新井通次
8自律神経系に作用する薬物
交感神経と副交感神経の特徴(神経伝達物質と受容体)、交感神経作動薬と遮断薬、副交感神経作動薬と遮断薬。重要事項の確認問題。
交感神経系および副交感神経系の作動薬と遮断薬を説明できる。
予習90分(教科書P54-63)
復習90分(講義プリント)
キーワード:α作用、β作用、ムスカリン作用、ニコチン作用
新井通次
9中枢神経系に作用する薬物
中枢神経系の役割、血液脳関門、興奮性と抑制性のシナプス伝達、中枢神経興奮薬、全身麻酔薬、静脈内麻酔薬、催眠薬、中枢神経疾患(パーキンソン病、アルツハイマー病、統合失調症、うつ病、不安)治療薬。重要事項の確認問題。
中枢興奮薬、全身麻酔薬、催眠薬、抗うつ薬の作用機序を説明できる。
予習90分(教科書P.64-75)
復習90分(講義プリント)
キーワード:興奮性シナプス伝達、抑制性シナプス伝達、血液脳関門
新井通次
10痛みと炎症に用いる薬物
痛覚伝導路、侵害受容性疼痛と炎症性疼痛、内因性疼痛抑制機構(痛覚の下降性抑制系)、中枢性鎮痛薬、炎症のケミカルメディエーター、アラキドン酸代謝、ステロイド性と非ステロイド性抗炎症薬の薬理作用と副作用。重要事項の確認問題。
痛覚伝導路と鎮痛薬の作用、炎症のパラメーターと抗炎症薬の作用を説明できる。
予習90分(教科書P.110-121)
復習90分(講義プリント)
キーワード:中枢性鎮痛薬、抗炎症薬
新井通次
11局所麻酔に用いる薬物と筋弛緩薬
局所麻酔薬の一般的性質、局所麻酔薬の作用機序、局所麻酔薬の分類(エステル型とアミド型)、歯科用麻酔薬における血管収縮薬の添加、局所麻酔薬の副作用、神経筋接合部の構造、筋弛緩薬の作用機序と分類。重要事項の確認問題。
主な局所麻酔薬および筋弛緩薬の分類、作用機序を説明できる。
予習90分(教科書P.98-103)
復習90分(講義プリント)
キーワード:エステル型、アミド型、血管収縮薬、神経筋接合部
新井通次
12止血・抗凝血に用いる薬物
血小板凝集,血液凝固系、線維素溶解系、出血性素因、止血薬(局所性と全身性)、抗凝血薬、抗血小板薬、血栓溶解薬。重要事項の確認問題。
悪性腫瘍に用いる薬物
主な抗がん薬の機序と副作用。重要事項の確認問題。
止血・抗凝固薬ならびに抗がん薬の種類と作用機序を説明できる。
予習90分(教科書P.104-108、140-143)
復習90分(講義プリント)
キーワード:止血薬、抗凝血薬、抗がん薬
新井通次
13呼吸器・循環器系に作用する薬物
気管支喘息治療薬、高血圧治療薬、抗不整脈薬、狭心症治療薬。
緊急対応時に用いる薬物
歯科治療中の偶発症と緊急治療薬。重要事項の確認問題。
気管支喘息、高血圧、狭心症の病態と治療薬、歯科治療中の偶発症と治療薬を説明できる。
予習90分(教科書P.104-108)
復習90分(講義プリント)
キーワード:気管支狭窄、高血圧、緊急薬品
新井通次
14感染症に用いる薬物
感染と感染症、消毒薬の分類と使用目的、抗菌薬の作用機序と選択毒性、抗菌薬に対する耐性機序、抗菌薬の使用目的と副作用、抗真菌薬、抗ウイルス薬。重要事項の確認問題。
消毒薬と抗菌薬の分類と作用機序、使用目的、副作用を説明できる。
予習90分(教科書P.122-139)
復習90分(講義プリント)
キーワード:消毒薬、抗菌薬、一般毒性と選択毒性
新井通次
15口腔粘膜疾患に用いる薬物
口腔粘膜疾患(単純ヘルペス感染症、口腔カンジダ症、口腔扁平苔癬、アフタ性口内炎)、口腔用軟膏(ステロイド性抗炎症薬、抗菌薬、抗ウイルス薬)、付着錠、トローチ剤、含嗽薬。重要事項の確認問題。
主な口腔粘膜疾患と治療薬を説明できる。
予習90分(教科書P.160-163)
復習90分(講義プリント)
キーワード:抗ウイルス薬、ステロイド性抗炎症薬、抗真菌薬
新井通次
成績評価方法
定期試験(70%)、講義ごとのミニテスト(30%)。但し、定期試験が感染症等の事情で実施出来ない場合にはレポート試験(70%)に変更する。
教科書
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『歯科衛生士テキスト 最新薬理学ー疾病の成り立ち及び回復過程の促進ー』大浦清、戸苅彰史学研書院¥2,700+税978-4-7624-0168-8
参考書
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『初めの一歩は絵で学ぶ薬理学』黒山政一、香取祐介じほう\1,800+税978-4-8407-4652-6
2.『休み時間の薬理学』丸山敬講談社\1,800+税978-4-06-155716-1
3.『イラストで学ぶ薬理学』田中越郞医学書院\2,600+税978-4-260-02502-7
オフィスアワー
連絡先
質問は、授業後に教室で対応する。
TeamsのチャットやE-メールによる質問も受け付ける。
連絡先:araimigu@dpc.agu.ac.jp
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更新日付2023/02/06 18:37:33